先日リリースされたiOS 15.2、iPadOS 15.2、macOS 12.1から、Appleの情報端末で「故人アカウント管理連絡先」が設定できるようになりました。
この機能はApple IDを持つ利用者が、自分の死後に特定の相手にiCloud上のデータを託すために使用できます。端末の設定メニューで「故人アカウント管理連絡先」を指定すると、指定した人に対し、データを見ることができるアクセスキーが送られる仕組みです。Apple IDを持たない人でも指定可能ですが、アクセスキーを申請できるのが13歳以上の人に限られるので注意してください。
iPhoneでの「故人アカウント管理連絡先」設定画面。「設定」-「ユーザー名」-「パスワードとセキュリティ」と進む
連絡先に指定した相手にメッセージを送ることで、設定したという事実を共有する
機能が追加された背景には、故人が残したデジタルデータの重要度が高まっているからだと思われます。
亡くなった人の資産の情報や支払い契約が続いているサブスクリプションの情報、進行中の仕事のデータややりとり、訃報を伝えるべき相手のヒント、遺影に使いたい写真などなど……。その全てがデジタルで残されるというケースは年々確実に増えています。
そうした「デジタル遺品」の存在に気づいたとき、遺族や縁者の目は故人のスマートフォンに向かうことが多いです。スマートフォンのセキュリティは非常に堅く、パスワード(パスコード)を突き止めないと開くことは相当難しく、仮に開けたとしても、持ち主以外が残した端末から有用な情報をノーヒントで探しきるのはやはり簡単なことではありません。
故人アカウント管理連絡先の設定機能は、そうした苦労を回避するのに役立てられるはずです。
数年前の感覚ですと、「デジタル遺品はそっとしておいて」と考えられていましたが、そんな考えではなくなってきているのかもしれません。死後のことまできちんと考えなくてはいけなくなりつつあります。